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COLUMN

[ 産婦人科医・対馬ルリ子先生に聞く ]

女性の未来の健康のために

2022.03.30 | 医師監修

女性が今だけでなく将来的にも健康でいるためには、どんなことに気をつけたらいいでしょうか?自分自身のために、あるいは娘のために、今から始めるべき行動とは?あなたやあなたのお子さまのために、覚えておきたいことについて、対馬ルリ子先生に伺いました。

女性の一生に向き合う「ウィメンズヘルス」

出産や子育てなどの女性のライフイベントと、更年期や婦人科の病気には密接な関係があります。しかし、今まで日本には「いつ子どもを産むか」(バースコントロール)、「どういう風に育てるか」ということを相談できる医療機関はありませんでした。一方で、欧米では10代の頃からかかりつけのドクターがいるのが当たり前。月経や避妊について、仕事との両立やパートナーとの関係についてなど、身の回りのこともからだや心のことも相談できる環境が整っています。

そこで、日本にも医療アドバイザーの習慣を作ろうと、女性の一生涯の健康と向き合う「ウィメンズヘルス」専門の医療機関を始めました。「ウィメンズヘルス」とは赤ちゃんから死ぬまで100年の人生を診ていくもの。現在は日本にもだいぶ定着し、今では親子や友人同士で一緒にクリニックを訪れるなど、自分らしく活用する人が増えています。

こんなに違う、男性と女性のヘルスケア

男女平等とはいっても、男性と女性のヘルスケアは違います。男性の場合、生活習慣の積み重ねから気がつかないうちにリスクが上がっていき、あるとき大きな病気にかかることが多いのですが、女性は普段から月経周期の関係で、体調だけではなく気持ちも不安定なところがあります。

女性の中には、動悸やめまい、疲れやすい、冷えやすいなど、病気ではないのに調子が落ちて生活しにくいと感じる人が多いようです。放っておくとどんどん調子が悪くなり、日常生活に支障をきたすほどの不調を抱えてしまうこともありますから、ちょっとした調子の悪さを後回しにせず、自分の心とからだに向き合うことが大切です。

美容院を探すように、かかりつけ医を見つけよう

婦人科のかかりつけ医を見つけるには、お友達からの紹介もいいですし、お友達と一緒に検診に行くのもいいですね。相談できる先は1ヶ所でなくてもいいのです。何ヶ所か持っていて徐々に行き慣れていけば、本当に不調を感じた時にすぐに相談して早く対処できます。「美容院にとりあえずカットに来ました」というぐらいの感じで気軽に訪れてみて、「気が合うな」「相談に乗ってくれるな」と感じたら、かかりつけ医として相談をしていくといいと思います。

15歳になったら、婦人科のかかりつけ医を

COCOROOTユーザーの中には、女の子のお子さまがいらっしゃる方も多いと思います。女性の不調は心とからだが密接につながっているもの。ですから、月経が始まったら、お子さまが自分で相談できる婦人科医を探しておくといいでしょう。

15歳頃になったら婦人科の検診を受けて、子宮や卵巣の状態、ホルモンの状態を診てもらいましょう。最初は2年ごとに検診を受けてからだの状態を把握しながら、心配なことがあればドクターに相談できるよう、習慣付けていきます。「生理痛が辛い」「生理の量が増えた」「PMSがひどい」といった悩みごとも、気軽に相談できる場所があれば早期に解決できます。

1年に1回は婦人科検診を受けよう

婦人科の検診は1年に1回または2年に1回が目安。30代後半から40代は乳がんも増える年代ですし、子宮筋腫も気になる年齢ですから、40歳を過ぎたら年に1回は受けておきましょう。もちろん、その前からかかりつけ医を見つけて、何でも相談できる状態にしておくことが大切です。

例えば、「そろそろ子どもを産もうかな」と思い始めたのが30代後半だった場合、それから初めて婦人科検診を受けて「卵巣の腫瘍が見つかった」とか「筋腫が大きい」と言われるとショックが大きく、自分が望むライフプランを叶えることが難しくなってしまいます。若いうちからかかりつけ医に何でも話して、「そろそろ妊娠を考えています」って相談してもらえたら、軌道修正も効きますし、人生の選択肢が広がります。手遅れにならないうちに、早めに相談できる環境を整えておくといいですね。

対馬ルリ子 医師
医療法人社団 ウィミンズ・ウェルネス
女性ライフクリニック 銀座・新宿 伊勢丹 理事長
産婦人科医師・医学博士

対馬ルリ子 医師

日々の診察をしながら、女性の生涯のかかりつけ医としてトータルな健康支援に長年取り組んでいる対馬ルリ子先生。
コロナ禍の2020年、女性の生涯の心身と社会的なウェルビーイングを支援するというテーマを掲げた「日本女性財団」を設立され、女性医師・女性支援者、政界・財界の女性リーダーたちと連携し、女性の生涯の活躍を後押しする、新しい日本の社会づくりに貢献されています。