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COLUMN

[ 産婦人科医・対馬ルリ子先生に聞く ]

PMSと上手に付き合うには?

2022.03.30 | 医師監修

PMSとは、月経前に現れる心やからだの不調のことをいいます。今回は、PMSの症状や上手な付き合い方について、産婦人科医・対馬ルリ子先生にお話を伺いました。

PMSとは?

PMS(月経前症候群、Premenstrual Syndrome)とは、月経が始まる3~10日ほど前から月経が始まるまでの間に起こる、心身の不調のこと。ホルモンバランスの乱れのほか、ストレスや疲労、生活環境も症状に影響を与えるといわれています。普段何気なく言われたことや、何年も前に言われたことを思い出して、悲しくなった経験はありませんか? PMSにはそのような精神面での症状もみられます。

月経前になると、ホルモンバランスの変化によって、普段無理している部分が破綻しやすくなります。ですから、症状が出た時には、「からだも心もだいぶ無理していたんだな」と思いながら自分を労ってあげてください。上手に労うことができたら徐々に付き合い方もわかってきます。

自分の状態を記録しよう

自律神経は心臓の調律を司っています。自律神経とホルモンの関係を知り、ホルモンバランスが乱れると自律神経の調子が崩れるのだと把握していれば、月経が始まった後にだんだんと良くなっていくこともわかります。

基礎体温や月経の記録をつけて自分のことを客観的に記録すると、いろいろなことが見えてきます。「月経の1週間前になると便秘が始まる」「3日前になると頭痛がしてくる」「肌が荒れてくる」「お腹や腰が重くなって、イライラする」などのように、PMSの症状は人それぞれ違いますので、自分だけの記録をつけておくといいでしょう。続けることでPMSとの付き合い方がわかり、「症状が重い日に大事な予定を入れない」など、自分に合った予防法が見つかります。

毎月記録をつけたら、PMSが終わった後に振り返りをしましょう。「今回は楽だった。きちんと寝たし、ストレッチもやったし、食事も工夫したのがよかったのかな」などと行動を見直すことで、からだとの付き合い方を改めて考えることができます。

良くなるヒントは自分の中にある

薬を飲む、よく寝る、自己肯定感を養う、「自分は自分でいいんだ」という心の余裕を持つ……調子を整えるためには、さまざまな方法があります。

不安なことがあると、どんどん不安が増幅していき「もうだめではないか」「重病があるんじゃないか」と思ってしまいますよね。ですが、自律神経の調子が悪いのだとわかっていれば、不安になることもありません。加えて、いくつかの解決策から選べる状態にしておくことも、安心を増やすひとつの方法です。漢方、ピル、サプリメント……これもある、あれもできる、と思えることはとても大事なことです。もちろん、かかりつけ医に相談をすることも解決策のひとつです。

まずは3カ月の習慣に

PMSは3カ月間の症状を見て診断しますから、新しいことを始めたら、まずは3カ月続けてみることが大切です。例えばサプリメントなら、「なんだか調子が悪いな」と感じた時点で始めてみて、3カ月間どのような変化があったのかを経過観察します。自分の状態に点数をつけるのもいいでしょう。良くなってきたと感じたら、あなたに合っているということ。大切なのは、自分の今とこれからのからだの変化を客観的に見られるようになることです。そのための検査や記録を行い、それを判断できる知識を備えていけるといいですね。

対馬ルリ子 医師
医療法人社団 ウィミンズ・ウェルネス
女性ライフクリニック 銀座・新宿 伊勢丹
理事長
産婦人科医師・医学博士

対馬ルリ子 医師

日々の診察をしながら、女性の生涯のかかりつけ医としてトータルな健康支援に長年取り組んでいる対馬ルリ子先生。
コロナ禍の2020年、女性の生涯の心身と社会的なウェルビーイングを支援するというテーマを掲げた「日本女性財団」を設立され、女性医師・女性支援者、政界・財界の女性リーダーたちと連携し、女性の生涯の活躍を後押しする、新しい日本の社会づくりに貢献されています。